研究支援(COS3)Clinical Observational Study Support System

メッセージ

九州大学病院では、平成22年度より文部科学省概算要求特別経費による「広域ネットワーク型臨床研究推進事業」を実施し、我々メディカル・インフォメーションセンター(MIC)が様々な臨床観察研究プロジェクトの研究デザインや統計の支援、そしてICTシステム支援を担当いたしました。平成27年度末でその6年間の文部科学省事業は終了しましたが、同事業の経験を活かし、良質な臨床観察研究を支援するために、九州大学病院は平成28年にMICを担当とする臨床観察研究支援事業(Clinical Observational Study Support System, COS3)と形を変えて、現在まで継続しております。

COS3では電子的データ収集システム(EDC)をはじめとしたデータ収集におけるデータベースシステム及びネットワーク構築の支援のみならず、疫学、統計学のスペシャリストによる良質な観察研究の遂行に必要な疫学、研究デザインの策定支援、臨床研究指針への準拠支援、症例が登録された後のデータマネジメント支援、蓄積したデータの統計解析支援などの人的支援も含めた包括的な観察研究の支援を行っております。

近年、臨床研究において、様々な事情により論文の撤回に至るなどの科学的に不公正な事例が多発しています。さらには令和2年からは厚生労働省も薬事申請資料として、必ずしもランダム化比較対照試験でなくとも観察研究を含めて受け付ける方向性を示しており、観察研究データの信頼性向上のニーズが一層増してまいりました。
そのような状況を受けて、COS3は、臨床研究の科学性・信頼性を回復し、さらに以前よりも向上させることは大学病院が一翼を担うべき重要な課題と考え、その一環として、令和4年度にPMDAにも相談して、薬事申請レベルの体制や運用、EDCを含めたシステムの再整備を実施いたしました。

今後もCOS3は、観察研究活動支援と品質向上に邁進いたしますので、さらに多くの臨床研究者の皆様にCOS3をご利用いただければ幸いです。

メディカル・インフォメーションセンター

センター長中島 直樹